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シリーズ 19 「自己PRのやり方・書き方論」 ロジックの積み上げ⑤

自己PRの考え方・やり方・書き方
2018-05-25

自己PRの考え方・やり方・書き方

 それでは、「キーワードから始まる自己PR」と、「価値観の把握」とを比較して、どのあたりがズレてしまうのか?について考えてみます。
 例えば、本シリーズ13 で書いた事例。
「そういえば、大学1年の時のバイトのあの経験。バイトのみんなが、店長の仕事の進め方に不満が爆発して紛糾したけど、俺が間に入ったら収拾したもんなあ・・・。あれは今思えば、俺のリーダーシップが発揮されたから解決したんだろうなあ。きっとそうだな!」
 この彼の頭の中には、すでに、学校でやった自己分析診断テストで書かれていた、「リーダーシップ」というキーワードがインプットされています。
 これに基づいて、所謂、就活用の自己PRにすると、だいたいこんな感じになりますね。
「私はリーダーシップがあります。私は居酒屋のアルバイトを2年間続けております。始めた当初は、ホールの仕事を一つ覚えるのも、なかなか要領が悪かったのですが、現在は、ホールから調理場まで一通りの仕事を覚え、アルバイト統轄を任されています。大学1年の時に、店舗の運営方針に反発し、多くのアルバイトが辞めそうになりましたが、私が、方針の主旨を一人一人に直に説明・説得し、ほとんど離脱させることなく済みました。今では、後輩アルバイトの悩みや相談にアドバイスしています。」
 この “余所行き自己PR” を掘り下げていきます。
 彼が大学1年の時に、バイト先の店舗で、アルバイト大量離脱危機が勃発したのは事実でしょう。彼がバイトを2年間続ける中で、このトピックが記憶に残っている訳です。これ以外にも、いくつかトピックがあるのでしょうが、でも、この事件が、もっとも印象に残るトピックの一つだったということです。
 通常、学生というのは自己PRのネタを探す時に、印象に残ったトピックを利用しようとします。もちろん間違いではないですよ。学生生活というのは、意外と単調です。昨日の延長線上の日々ってことが多いもの。学生の口癖は常に、
「あ~、なんか面白いことないかなあ・・・???」
 なんてことが多いものです。そうでしょ(笑)?これは、一つは社会人と違って、時間がたくさんある、という要因もあるのですが、一方で、毎日の生活が単調であるということの裏返しでもあります。
 そんな中で、記憶に残るほどのトピックというのは、何らかの刺激があった訳です。これは、自分では気づいていないけど、心の琴線に触れたんでしょうね。新しい価値観が抽入されたというか。だから覚えているんです。毎日カップラーメンばかり食べ続けていたある日、羽振りのいい先輩から、たまにはイイ物食わせてやるよ。栄養つけろ!とか言われて、駅前かなんかの焼肉店でお腹いっぱい食べさせてもらったら、行ったことは当分忘れないでしょ?それと理屈は同じ。
 でも、いくら心の琴線に触れたとは言っても、これを、安易にリーダーシップに結びつけるのは危険。この場合、彼が間に入って事態が収集したのは、本シリーズ13 で書いたように、勘違いの可能性があります。「ひょっとしたら、別の人格者がいた疑惑」ですね。
 さらに、彼が事態を収拾したのは事実だったとしても、そこには、もっと本音の理由があったのかもしれません。
・別にリーダーシップはなくて、揉め事が嫌いなんだけど、バイト先では、たまたま自分が一番年上で、社員さんがいない状態だったから、仕方なく。 ・なんか他のバイトでウザイ奴がいて、そいつが変なことばかり言ってて、思わずムカつき、そいつに対する不満も込めて口に出た。 ・早く帰りたいのに、いつまでたっても結論が出そうにないから、ついついイライラして。
 とかいうように、どちらかというと、主体性のないことが発端だった場合もあるでしょう。何とか店舗をよくしよう!盛り上げよう!なんていう熱い気持ちではなく、どちらかというと、冷めた自分の性格のほうが勝った結果、収集しまったっていう場合です。こういうことは、現状を掘り下げていかないと、絶対に判りませんね。
 仮に、こういうことが本当の理由だとすれば、リーダーシップという言葉に結びつけるのは、無理があります。でもこの無理が、就活のどの時点にしわ寄せになるか、判りますか?
 彼が、事態を収拾したのが事実だった場合、ESは、恐らくどこの会社も通過するでしょうね。至って無難にまとめているし、他の質問とも、ある程度の整合性は取れているでしょうから。
 でも面接、特に二次面接以降では、総じて苦戦します。なぜなら、面接の質疑応答の中から、もともとリーダーシップがあるタイプではない、ということが面接官に判ってしまうからです。そうすると、ESの内容も違うし、ギャップが出るし、という構図。「ESシリーズ」「集団モノシリーズ」 で書きましたが、ESや集団面接は、至って無難な、よく判らない学生も通過するんです。でも、二次面接以降では、よく判らない学生は落ちてしまいます。
 自己PRの方向性を間違えた場合、どこにしわ寄せが来るか?といえば、それは二次面接以降。かなりの時間差がありますよね?数ヶ月のスパンがある。
 だから危険なんです。自己分析をしている時や、ESを書いたり説明会に参加したりしている時、そして一次面接を受けている時って、実は気づきにくいんです。だって通過してしまうから。完全に麻痺してしまっています。
 最終面接やその手前くらいの選考ステップで、いつも落ちるという人。高い確率で、自己PRの方向性を間違えてしまっているんでしょう。
つづく。

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